夜風夜話 NHKは誰のものか!

「NHK受信料不払い訴訟」の裁判記録とその他の余話

控訴審 控訴理由書② (令和2年1月20日付 東京高等裁判所)

これは控訴理由書①のつづきです。

第3. 原判決に対する反論(その2)
「国民の知る権利」に蓋(フタ)をし「健全な民主主義の発達」にブレーキをかけるNHK報道の最新事例

1.2019年参院選をNHKはどう伝えたか、伝えなかったか(視聴者団体「放送を語る会」のモニター報告書より)

 平成31年(2019年)夏の参院選投票率48.8%で戦後二番目に低い数字だった。「政治無関心層の増大」「若者層の政治離れ」などがその理由とされたが、メディアにもその責任の一端があったと言われる。
 選挙報道には、報道が民主主義の健全な発達に寄与できる重要な機会であり、有権者の政治的判断や政党選択、投票行動の判断に資する有益な情報の提供が求められる。そこでNHKはこの2019年参院選をどう伝えたか、視聴者団体「放送を語る会」のモニター報告からその実態を紹介したい。
 モニター期間は参院選公示日の7月4日から投・開票翌日の22日までで、対象とした番組はNHK「ニュースウォッチ9」、日本テレビ「NEWS ZERO」、テレビ朝日報道ステーション」、TBS「NEWS23」などだが、ここでは、NHK「ニュースウォッチ9」を中心に取り上げる。以下、モニター報告書から抜き書きして引用(一部省略)――。

(1) 減少した選挙報道・後退した争点報道

 今回の選挙の最終盤にあたる7月19日、「朝日新聞」は「参院選 テレビは低調」との見出しで、テレビでの選挙関連放送の低調ぶりを記事にした。民間の調査会社の調査によれば前回(2016年)に比べ「ニュース・報道番組」では放送全体で3割減、民放だけだと4割減っている。こうした現象は放送を語る会のモニターした番組にも起きていたのか。それを検証するために、2016年参院選でのモニター報告と今回との放送時間数、放送回数の比較を試みた。

 【表1】で明らかなように前回と比較して著しい差が生じているのは「報道ステーション」で、前回13回の放送のうち、選挙に関する放送がなかったのがたった1日だったのに対して、今回は全体の42%にあたる5日間、選挙に関する話題に全く触れていない。こうした選挙報道の退潮傾向は「NEWS23」にも見られた。
 もう一点、今回のモニターで明らかになったのは「争点報道」の少なさである。【表2】は今回放送された選挙関連報道の一覧表である。この中で「参院選の争点」として放送されたのは、7月9日「ニュースウォッチ9」「参院選の争点 社会保障」、10日「ニュースウォッチ9」「参院選の争点 消費税の引き上げ」と同じ日の「報道ステーション」「参院選の争点 年金問題」だけである。このほかに、7月4日「ニュースウォッチ9」では、有権者が重視する政策として、「年金・社会保障」に絞って各党党首の訴えを紹介し、「NEWS ZERO」は「年金問題」に限定した党首討論を実施。7月18日「報道ステーション」「『憲法』9条改正各党は?」もれっきとした争点報道だった。

 にもかかわず、相対的に見てその少なさは異常ともいえる。なぜなら、今回の選挙ほど争点がはっきりしていた選挙は珍しかったからだ。安倍総理憲法改正を選挙公約の第一に掲げていたし、対する野党は目の前に迫った消費税10%引き上げや、選挙直前に明らかにされた老後の年金不足問題を、与党追及の武器として選挙戦に臨もうとしていた。
 選挙報道にとって、最も重要なのは「争点」を明らかにし、その争点に対する各党の考え方や、各社独自に取材した問題点などを、ひとつの番組にまとめて有権者に提示することだろう。有権者は各党の主張を比較し、争点の意味するところを知ることで、投票行動の参考にすることができる。
 報道各社は争点報道を避けたのではないか、と疑いたくなる。3年前の争点報道と比較してみるとそれはより明らかになる。

 前回は各局とも積極的に「参院選の争点」を取り上げていた。【表3】は「報道ステーション」、【表4】は「ニュースウォッチ9」についての比較だが、「報道ステーション」は5回にわたって「参院選の争点」を扱い、「ニュースウォッチ9」も三夜連続で「アベノミクス」「社会保障」「安保法と憲法」を選挙の争点にしていた。
 また前回は「争点なき選挙」と言われた。とくに憲法については自民・公明両党とも「改憲問題は争点ではない」と主張していた。メディアはこれを「改憲隠し」と受け止め各局とも改憲を争点としてとらえ、番組に取り上げていた。にもかかわず、この時のモニター報告は「選挙報道は質・量ともに貧弱だった」と総括していた。

 その時より後退してしまった今回の選挙報道で何が起こっていたのか。ある在京キー局のプロデューサーは「安倍政権1強。政権交代が起きる要素もない。取り上げたくなる個性の強い候補者や選挙区もない」とし、そのうえ「(局側は)数字が取れないのに気ばかり使って、手間とリスクを背負い込む放送にメリットはない」と判断しているのではないかと発言している(7月19日「朝日新聞」(MediaTimes)。

 モニターに参加したメンバーからは「政府与党がメディアに要求した『公平公正』が足かせとなって、メディアが委縮し、どこからも文句の出ないように争点を曖昧にし、時間も短くしてしまったのではないか」との声も上がっている。

(2)NHK「ニュースウォッチ9」の選挙報道

 今回の選挙関連報道の中で、党首の演説をもとにしている企画が8回もある(9日10日も党首演説がもとになっていることは後述)。19日の「若者の投票率UP」も後半は各党議員の演説を要約したもので、独自取材による報道は、7月10日「消費税引き上げ」に関して行った、消費者や業者などへの直接取材、11、12日の一人区に関するルポだけである。
 もちろん、各党の主張を伝えることは大切であろう。が、党としての主張以外にも独自企画、独自取材によって報道すべき事柄は、数多くあったのではないか。争点報道の減少は、その中でも、最も問題とされるべきことである。

(3)「ニュースウォッチ9」は選挙の争点をどのように伝えたか

 選挙報道の中でも、争点について伝えることはテレビが最も適したメディアと言える。言葉だけでなく、映像表現で様々な問題を訴えることが可能だからだ。以下、NHK「ニュースウォッチ9」の場合――。

〇「憲法改正問題」
 「憲法改正」を争点番組として取り扱っていないが、折に触れて「憲法」に言及していた。まず7月4日公示日の放送で、有権者が最も関心を持っている政策課題について解説し、キャスターは「自民党憲法改正の意欲にくらべて、世論調査では憲法が重要政策と答えた人は6%に過ぎなかった」と報告し、さらに「野党側は安全保障関連法は憲法違反だとして、その廃止が優先課題だと訴えている」と解説。

 7月7日の「党首の訴え 徹底分析」は各党党首の演説に使われている言葉」の多少を分析することで、その党が何を重点的に訴えようとしているかを探ろうとした新しい手法であった。分析結果について担当した記者は「憲法という言葉を自民、共産、社民は繰り返し使っている。ただ、安倍総理憲法改正を議論する党かしない党か、二者択一を迫る言葉を使い、共産・社民は憲法改正反対という文脈で憲法を語っている」と述べ、さらに「立憲、国民、公明、維新は、憲法という言葉を一言も使っていない」と解説している。これは極めて興味深い結果である。言葉を量として捉え分析していく手法がどの場合も有効とは思えないが、ここでは成功していると言える。

年金問題
 7月3日、政府の諮問機関である金融審議会は「年金だけでは老後の生活費が2000万円不足する」との内容の報告書を麻生財務大臣に提出した。報告書は「100年安心年金制度」を掲げてきた与党に衝撃を与え、一方野党は選挙の格好の争点との構えをとっていた。しかし、麻生大臣はこの報告書の受け取りを拒否。「年金不足問題」は無きものとされ、討論が行われないまま選挙戦を迎えていた。
 「ニュースウォッチ9」では前項で紹介した憲法についての分析を試みた7月9日、党首演説から集めた言葉の分析から「年金」についても解説している。ここでは「年金」という言葉に関連してどんな言葉がよく使われたかを丸の大小で図示している。
 与党の場合、「年金」という言葉とともに、よく使われたのは「財源「運用」だった。野党はどうか。解説にあたった記者は「こちらも財源、あとは安心という単語も一緒に使っている」と述べている。ところが、画面で見る限り、安心と同じくらいの大きさで「マクロ経済スライド」が丸く示されているのだ。「財源」の丸よりはるかに大きい。記者は意図的にこの単語を外したのではないか。としたら何のために?「野党は、高所得者や企業に対する課税の強化で財源を捻出すると訴えているんです」と解説しているだけに、「マクロ経済スライド」に触れなかった理由が理解できない。

〇消費税10%引き上げ問題
 この問題を争点として取り上げたのは「ニュースウォッチ9」だけだった。7月10日「参院選の争点 消費税の引き上げ」として新しい手法による分析結果を報告。「憲法改正」「年金問題」と同じく、党首たちの演説に使われた「消費税引き上げ」にまつわる膨大な量の単語を分析し、与野党がそれぞれ何を争点にしようとしているのかを探ろうとする手法だ。
 テレビ画面では多く使われた言葉ほど大きな文字で表されていた。この分析結果から、与党が多く使っている言葉が「安心」「子育て支援」「応援」という言葉だったことがわかる。担当した記者は「与党はたとえ増税しても、安心な社会像をイメージできるようにポジティブな言葉を使っている」と分析。一方野党側の特徴は与党が一度も口にしなかった「増税」という言葉が一番多かった。記者はこれをもって「野党は、増税という言葉を使うことで暮らしや家計への負担が重くなることを強調している」と解説している。
 番組では、これに引き続き街の声や業者の声を、賛成反対の両面から多角的に拾っている。ただ解説部分では、与党が2.3兆円をつぎ込んで対応しようとしている景気落ち込み対策がきわめて具体的に語られるのに対し、野党の主張は「景気の恩恵は、優遇を受けた大企業など一部に限られる」「大企業や富裕層への課税を強化することで、財源を確保せよ」など、言葉の紹介だけにとどまっている。大企業優遇策とは具体的にどのようなものなのか、過去消費税が5%から8%に引揚げられたとき、どのようなことが起こっていたかなど、具体的な解説が加えられれば、有権者の投票行動により役だったのではないか。

(4)野党統一候補を立てた1人区についてどう伝えられたか

 立民、国民、共産、社民、それに「社会保障を立て直す国民会議」の4党1会派と市民連合は、全国に32ある一人選挙区すべてに統一候補を立てることに合意。事実上の与野党一騎打ちの構図が出来上がった。前回はこの方式で野党は11の議席を獲得したが、前回より共闘の基盤が強化されたのは、ここに関わった政党、団体が13項目にわたる「共通政策」に合意して選挙戦に臨んだことだった。この中には「安保法制廃止」「憲法」「沖縄」「消費税」「原発」など国政の基本問題での共通の課題が含まれていた。

 こうして出発した一人区を「ニュースウォッチ9」はどう伝えたか。
 新型防衛システム=イージス・アショアの配備問題で注目を集めた「秋田選挙区」では7月11日「参院選与野党激突~秋田・岩手~」というタイトルで秋田を取り上げた。
 東北6県の一人区で前回与党が勝利を収めたのは、唯一秋田選挙区だけだった。ところが、今回与党にとって極めて不利な問題が発生した。新型防衛システム イージス・アショアである。防衛相はその配属先のひとつを秋田市に確定しようと画策してきたが、そのためのデータに不備が見つかったのだ。しかも、その謝罪・訂正のために設けた市民との会合の席上、官僚の一人が居眠りをしていたことが発覚してしまった。その不誠実な態度に住民は硬化する。選挙はそんな最中に行われ、自民党現職の中泉松司氏と野党統一・無所属新人の寺田静氏の事実上の一騎打ちとなった。
 「ニュースウォッチ9」の内容は、中泉氏が「人口減少が続いているが、100歳まで生きがいとやりがいをもって生きられる社会をめざす」と決意を述べたのに対して、寺田氏が「住宅密集地、学校や福祉施設もあるところにミサイル基地を置くことはできない」と主張しただけで、基地がどんなところに作られるのか、その周辺の映像もなければ、住民の反応も伝えていない。ごく型どおりに両者の意見や選挙運動を紹介したに過ぎない。モニター担当者は「選挙公報政見放送と変わらない印象を受けた」と語っている。
 「岩手選挙区」「徳島・高知合区」も取り上げたが、与野党両候補の主張を等分に取り上げただけの「選挙公報的な扱い」(モニター担当者の感想)でしかなかった。

(5)政治的公平は保たれていたか

〇党首演説の時間配分
 「ニュースウォッチ9」が選挙期間中、その大部分を党首の演説にあてていたことはすでに述べた。問題は、放送に際して議席数によって時間配分に差をつけていたことである。
 まず7月4日公示日の「各党首の訴え」では、自民56秒、立憲40秒、国民37秒、公明35秒、共産30秒、維新30秒、社民17秒であり、自民は社民の3.5倍ある。これから一斉に選挙戦が始まるという時点で、こうした措置は公平なものと言えたのだろうか。選挙戦中盤の15日放送された「党首の訴え」でも同様の措置がとられていた。しかも、この時の党首の演説は全体で5分弱。選挙関連の報道としては短すぎる感がある。
 期間中、最も注目すべきは3日間にわたって報じた「密着 党首の選挙選」だった。この企画では、演説だけでなく、党首の私生活にわたる部分まで、様々な顔を伝えようとするものだったが、政党による時間差は自民が社民の3.6倍にもなっていた。すなわち、自民5分31秒、立憲2分46秒、国民2分40秒、公明2分35秒、共産2分17秒、維新2分15秒、社民1分31秒というもので、この結果、安倍総理の行動には大学生との対話、私生活でのメダカのえさやりまで実に多岐にわたっての紹介が可能になっている。他の党首の私生活の部分も紹介されてはいるが、その差は歴然としている。
 こうした企画こそ、それぞれの党首の人間性にも触れる好企画のはずだ。民放各社の番組がこれほど厳密な差をつけていなかったことから見ても、NHKのとった措置は、公平に見えてその実きわめて不公平な結果を生んでいるのではないか。企画によって、もっと柔軟な対応をしてもよかったのではないか。

〇政党要件を満たさない団体の取り扱い方
「れいわ新選組」「NHKから国民を守る党」はともに政党要件を満たしていないとして、選挙期間中、テレビメディアはほとんどその活動の様子を伝えなかった。にもかかわらず、「れいわ」は比例区で228万票を獲得して2議席を得、「N国党」は98万7千票余りの票を集め、1議席を獲得した。

 映画監督の想田和弘氏は、山本太郎(れいわ新選組代表)現象をテレビが報道しないことを批判している。その要旨は、もし、政党要件を満たしていないことや特定の政治団体を取り上げることの不公平が理由であるならば、今後、「いくら画期的で新しい政治現象が出てきても、テレビは一切無視するしかなくなる」。そんなことでテレビはメディアとしての役割を果たしていると言えるのか。結局のところ、「政治に対して最も影響力があるテレビというメディアは『公平性』を装いながら、実は既成の勢力に味方し、真新しい勢力の参入を拒んでいる」(7月31日「東京新聞」(論壇時評)に中島岳志氏が引用)というものであった。

 この件に関しては、モニター担当者も「新しく立ち上がった政党の本質を見抜く目とそれを放送にのせる合意を手にしない限り、結果的にどのメディアも『比較大政党』の主張や動きを優遇することになっていくのではないか、そして、実際そうなっていた」と想田氏と同様の感想を寄せている。
 なお、モニターした各番組が「れいわ新選組」について触れたのは、いずれも投開票が終わった翌日、22日のことだった。
 だが、「既成の政党に満足できない有権者の受け皿になった」(「ニュースウォッチ9」)、「出口調査からみると、無党派層の10%はれいわ新選組に流れている」(「報道ステーション」)といった分析結果は報じられているものの、テレビメディアがこの党について放送しなかったことは、どの番組も言及していない。

(6)NHK「ニュースウォッチ9」は選挙結果をどう伝えたか

 今回の投票率48.8%は戦後二番目に低い数字だった。これについて多くの識者がテレビメディアにその責任の一端があるとしている。脳科学者の茂木健一郎氏は7月21日ツイッターで、低投票率について「選挙期間中、政策論争や、候補者の人となりを多角的に分析し質、量ともに充実したニュースとして報道してこなかったNHK、民放は何を思う? 少なくとも一部分は自分たちのせいだと恥じ入らないのか」とツイートしたという(7月27日「しんぶん赤旗」(レーダー))。

 「ニュースウォッチ9」で担当の記者は、低投票率は6年前から続いていて、毎回50%台前半で推移していたことをあげ、民主党政権から再び自公政権に代わった後も、与野党ともに十分有権者を引き付けられていないのではないか、と解説したが、メディアの責任については一切述べていない。それはキャスターたちについても同様である。 

(7)今回のモニター活動の総括として、NHKへの要望

 NHKの受信料制度は、国家権力からも企業の支配からも自由に、独立、自律的に放送事業を行うために生まれた制度である。国政選挙のような民主主義の発展に貢献できる機会こそ、その真価を発揮すべき時であろう。
 放送法には、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」(第1条3)とある。放送には「民主主義に資する」責任があるのだ。選挙報道は、放送が民主主義の発展に貢献できる最も重要な機会である。それはNHKも民放も同じである。有権者は良質な選挙報道を欲している。それを忘れてはならな

(「2019年参院選・テレビはどう伝えたか~後退する選挙報道~」2019年9月20日 放送を語る会より)乙17号証

「選挙報道の減少」と「争点報道の後退」はなぜ起きたのか?
放送法第1条2項および第4条1項の視点から考える…

 「放送を語る会」のモニター報告書は2019年参院選におけるテレビ報道の際立った特徴として「選挙報道の減少」「争点報道の後退」を指摘している。それが戦後二番目と言われる投票率の低下にもつながったと。なぜこのような状況が生まれたのか。モニターに参加したメンバーからは「政府与党がメディアに要求した『公平公正』が足かせとなって、メディアが委縮し、どこからも文句の出ないように争点を曖昧にし、時間も短くしてしまったのではないか」との指摘もあがっている。
 「選挙報道の減少」は安倍政権が抱える数々の疑惑や閣僚不祥事に蓋をし、「争点報道の後退」は「消費税10%引き上げ問題」や「2000万円不足の年金問題」など、政府与党の得票低下につながる課題を見えなくした。つまり、ありていに言えば、安倍政権と自民党に有利になる選挙報道を展開したということである。

国政選挙は政府与党の信任選挙でもある。そこでは当然、政府与党の政策評価や問題点、また野党の主張が国民によくわかり、正しい判断の下に、投票行動につながる情報や知識を提供するものでなければならない。

 放送法4条1項は「政治的公平性」(1号)とともに「論点の多角的提示」(3号)を求めている。まさにこれは選挙報道の鉄則ともいえる規定であり、「有権者の知る権利」に応える必須条件と言える。「公平公正」を理由に政府与党が選挙報道に口を出すことは「放送の不偏不党、真実及び自立を保障」する放送法1条2項に違反しており、その政府与党の要求にメディアが委縮し、「表現の自由」=「知る権利」を確保できないことは大問題だ。
 しかしながらこのモニター報告書による2019年参院選の選挙報道はNHKをはじめ、テレビ局全体で「国民の知る権利」より「政府与党への忖度」が優先されたことを暗示している。「健全な民主主義の発達に資する」放送が「健全な民主主義の発達」にブレーキをかけていた、と言っても過言ではない。

2.安倍政権の「桜を見る会」疑惑をNHKはどう伝えたか、伝えなかったか(戦史・紛争史研究家・山崎雅弘氏のツイートログまとめtogetterより」 

 令和元年11月8日の参院予算委員会で共産・田村智子議員の追及で一気に火を噴いた安倍首相主催「桜を見る会」疑惑は、現職総理による「公式行事の私物化」「公職選挙法違反」「政治資金規正法違反」「公文書管理法違反」など多岐にわたる批判や疑惑が相次いだ。疑惑発覚以来、国会では連日、野党追及本部によるヒアリングが行われ、内閣府官僚による虚偽説明や不正疑惑も発覚。菅官房長官の説明も二転三転するなど、その真相究明はいまだ現在進行中である。

 この安倍首相の「桜を見る会」疑惑をNHKはどう伝えたか、伝えなかったか。戦史・紛争史研究家で政治問題などについても新聞・雑誌などへ寄稿、『日本会議~戦前回帰への情念』(集英社新書)『増補版・戦前回帰~「大日本病」の再発』(朝日文庫)『歴史戦と思想戦』(朝日文庫)などの著作もある山崎雅弘氏のツイートログから紹介する。

 山崎氏のツイートログは、「桜を見る会」疑惑が噴出した1週間後の11月15日から12月10日までの26日間、NHKのニュース報道をウォッチしたものをWebサイトtogetterページにまとめて発表したものだが、疑惑を報じない公共放送NHKへの怒りのメッセージとともに、生々しく、極めて貴重な資料になっている。
 以下、全文を抜き書きして紹介する。経過日時がわかるように、投稿時間もそのまま各ツイートのヘッドに明記した。なお現物サイトをプリントした証拠書面にはニュース画面の写真なども掲載されており、併せてご覧いただきたい。


安倍政権の花見会疑惑を一切報道しなくなった
NHKニュースの態度について(戦史・紛争史研究家・山崎雅弘) 乙18号証

 表題に関連するツイートをまとめました。NHKニュースは、11月15日の時点で安倍政権の花見疑惑について踏み込んだ放送をしていました(下の内容を参照)が、確認できた範囲では11月19日から今日まで22日間、この疑惑についての日々のニュース番組で一切触れないという、重大な国民への背任的放送をしてきました。
 受信料の強制徴収を法律で許されている公共放送は、本来不偏不党の立場から、政権の疑惑について独自の視点で追及報道する社会的義務を負っているはずです。
 ところが、安倍政権下のNHKは、籾井会長(当時の)「政府が右というものを左というわけにはいかない」(2014年1月25日のNHK会長就任記者会見)という言葉が象徴するように、完全に政権の下僕的な広報放送局に成り下がっているように見えます。

2019-11-15 13:51:54
桜を見る会」安倍首相の国会答弁と食い違う証言(NHK)「懇親会について安倍総理大臣は今月8日の参議院予算委員会で『各個人がホテルとの関係においてもそれはホテルに直接払い込みをしているという風に承知している』と答弁し、会費は出席者がそれぞれホテル側に直接支払

2019-11-15 13:53:46
(続き)ったと受け取れる説明をしています」「数百人規模のパーティーの代金を出席者一人一人がホテル側に直接支払うことは可能なのでしょうか?」「NHKは過去に懇親会が開かれていた都内の2つのホテルに取材しました。いずれも個別のケースについては答えられないとしましたが、『ANAインター

2019‐11‐15 13:54:52
(続き)コンチネンタルホテル東京』は『パーティーの代金は原則として出席者から個別に受け取ることはなく主催者や代表者から一括で受け取る』と説明しました」「『ホテルニューオータニ』は『代金を個別に受け取るか一括かはケースバイケースで相談次第だ』と回答したうえで、会費5000円のパーティー

2019‐11‐15 13:56:36
(続き)のプランはあるかどうか尋ねたところ『パーティープランの最低価格は1人1万1000円からで値切り交渉などには応じられない』などと説明しました」「このほか安倍総理大臣は『桜を見る会』の招待者について『各界において功績・功労のあった方を各省庁からの意見等を踏まえ幅広く招待している。

2019‐11‐15 13:58:36
(続き)私は招待者の取りまとめ等には関与していない』と答弁しています。しかしNHKが入手した『桜を見る会』の案内文は安倍総理大臣の事務所が地元関係者に参加を募る内容になっていて、実質的に安倍総理大臣の事務所が支援者の参加を取りまとめていたことを伺わせる内容」つまり首相の虚偽答弁。

2019‐11‐15 21:25:56
今晩のNHK午後9時ニュース、20分まで別のニュースをやって、ようやく花見会の話題に入ったと思ったら、やはり安倍首相の言い逃れコメントから入った。昨日から今日まで、いろんな重要事実が出てきているのに、安倍首相の言い逃れを延々と宣伝広報して5分で終了。NHKニュースはまた元に戻ってしまった。

2019‐11‐15 23:32:15
たったいま放送していたNHKの「ニュースきょう一日」という番組でも、花見会のニュースはトップではなく3番目で、しかも短い時間で「政治資金規正法違反にはあたらない」という安倍首相の言い分だけを垂れ流して終わった。NHKのニュース部局は明らかに動きがおかしい。現職総理大臣の不正疑惑だろう。

2019‐11‐19 13:21:15
一昨日のNHK午後7時のニュース。メインの5項目に総理主催花見会の政治 資金規正法違反などの疑惑はなし。それどころか「検証安倍政権」というコーナーで安倍政権下の「功績」をたたみかけるように宣伝。一応マイナス面も両論併記されていたが、その問題点も「今後安倍政権下で解決可能」という結論。

2019‐11‐19 13:23:38
(続き)驚いたのは、その安倍政権下で経産相を4年務め、週刊誌が報じた「総額1200万円を受け取った口利き疑惑」に何も説明せず雲隠れした甘利明議員に、安倍政権の「採点(80点)」をさせて公共の電波に乗せていたこと。国民から巻き上げた金でこんな政権従属放送。公共放送の国民への裏切りだろう。

2019‐11‐19 13:26:30
自国の現職総理大臣が、巨額の税金不正流用疑惑で追及され、まともな説明も何もできず国会からも逃げ回っている異常事態に、国民から強制的に受信料を徴収する公共放送が、それをまともに取り上げずに「ゴーンショック1年」などでニュースの枠を埋める。NHKニュースはいずれ必ず批判の対象になる。

2019‐11‐20 13:32:09
2019年11月19日のNHKニュース項目。花見会の不正疑惑がどこにもない。代わりにあるのが「安倍政権 歴代最長に並ぶ」という安倍政権のPRコーナー。不正疑惑を報じてしまうと安倍政権PRの効果が薄れる。首相官邸に叱られる。NHKニュースはネットと放送で報道の姿勢が違う。

2019‐11‐20 13:33:35
NHK午後9時ニュースでは、花見会の不正疑惑を報じる代わりに「首相の言葉に迫る」という事実上の首相PRコーナーを13分も放送した。次々と出る事実と説明矛盾で現職総理大臣による政治資金規正法違反が濃厚視される中で「総理は言葉の使い方が巧み」等の内容スカスカの持ち上げ宣伝をするNHK。

2019‐11‐20 13:35:04
安倍政権が終わって日本が徐々に正常化する中で、NHKニュースの国民/受信者への背任的な権力迎合放送は間違いなく批判の対象になる。画面に出ていながら国民に「伝えるべき事実を伝えなかったアナウンサー」も免責されない。自分は出された原稿を読み上げただけ等の責任回避の言い訳は通用しない。

2019‐11‐20 13:37:51
何度も紹介している話だが、朴槿恵大統領時代の韓国で社長から「大統領に批判的な報道はするな」と命じられた公共放送KBSのニュース番組スタッフ(アナも含む)は、番組短縮などのストという手段で対抗した。その結果、社長は辞任に追い込まれた。NHKとの違いは大きい。

2019‐11‐22 13:48:59
昨晩のNHK午後9時ニュース。花見会は番組後半の9時33分にようやく取り上げたが、実質的に安倍首相側の論点ずらしを垂れ流しで1分46秒で終わり。現職総理大臣の公職選挙法違反等の疑惑追及にこの扱い。

K(小池)アラートか何か知らないが、恥ずかしくないか。もう恥の感覚が麻痺したのか。

2019‐11‐22 13:51:23
NHK9時ニュースは菅官房長官の「昭恵夫人の推薦は安倍総理の推薦枠に入れたから問題ない」との低劣な屁理屈を垂れ流しにしていたが、私人だと閣議決定された昭恵夫人の「呼びたい人」が安倍総理の推薦枠に入っているなら、明々白々な「政治の私物化」だろう。NHKニュースはなぜ批判しないのか。

2019‐11‐22 13:53:03
NHKが国民からの受信料強制徴収を法律で許されているのは、民放テレビのように視聴率やスポンサーを気にせず、国民に伝えるべきことを不偏不党で伝えるという公共放送の社会的役割を課せられているからだろう。金だけむしり取って権力者の宣伝放送をするのなら、その金を国民に返さないといけない。

2019‐11‐22 20:25:56
今日の午後3時のNHKニュース。今まさに国会で追及されている、自国の現職総理大臣の公職選挙法違反等の不正疑惑を一切報じない。「工藤会の本部事務所 取り壊し始まる」が国民に伝えるべきニュースか。
小さいことのように見えて、特定の時代の空気を知るための資料的価値を持つ。

2019‐11‐26 20:47:19
今日、2019年11月26日午前10時のNHKニュース。「現職総理大臣と現職官房長官の重大な不正疑惑が」「国会で」「今まさに追及されている」にもかかわらず、そのニュースが5項目に入っていない。これが安倍政権下の日本の公共放送のニュース。権力者に不都合な物事はニュース番組で国民に知らせない。

2019‐11‐27 12:30:06
昨日、2019年11月26日午後11時20分のNHK「ニュースきょう一日」。項目が12個もあるのに、今まさに国会で追及されて首相や官房長官内閣府官僚の不正疑惑と虚偽説明が次々と発覚している花見会のニュースはない。
代わりにあるのが、参院本会議場で国会議員が折りたたみヘルメットをかぶる訓練。

2019‐11‐27 12:33:21
(続き)同番組では「NHK NEWS WEBで今読まれている記事ランキング」を紹介したが、なぜか花見会がない。おかしいと思って即座(11時33分)に当該サイトを見たら、6番目と8番目に花見会の記事。

公共放送NHKが全国放送のニュースで受信者の国民にウソをついた?
これは国会で追及すべき案件では?

2019‐11‐27 12:36:12
2019年11月23日~26日の朝7時、正午、午後7時、午後9時のニュース項目を確認しても、花見会の不正疑惑に関するニュースは皆無。現職総理大臣と現職官房長官内閣府官僚の虚偽説明が濃厚となり、有権者買収に加えて反社会的勢力との癒着まで追及されているときに、ただ一つも無し。おかしいだろう。

2019‐11‐27 12:39:09
26日の午後9時のニュースは、トップで「ノーベル賞吉野さん 祝賀会」とい う娯楽ネタを3分。嬉しそうにニコニコ笑うアナウンサー2人。公共放送のニュースが担う社会的責任の重さをまったく理解していない様子。
NHKを信用してニュースの情報源とする人々は、国政にかかわる重要な事実を知らされない。

2019‐11‐27 12:40:58
NHKニュースは以前から、花見会の不正疑惑問題を「安倍首相や菅官房長官内閣府の弁明」を中心に報じてきた。弁明で取り繕える野党の質問だけを選別して放送に含めた。それに反する事実が次々と明らかになった今は、それすら出来なくなった。触れないという方法でしか隠せない。

NHKニュースは共犯者。

2019‐11‐28 13:52:40
2019年11月27日午後11時20分のNHKニュース。安倍首相や菅官房長官内閣府幹部のその場しのぎのウソが次々とばれて、違法行為の疑いがますます濃厚になっているにもかかわらず、12個もあるニュースの項目に全く入っていない。政権の正当性を揺るがす重大疑惑を、有料受信者の国民に伝えない公共放送。

2019‐11‐28 13:54:57
2019年11月28日午後1時のNHKニュース。安倍首相や菅官房長官内閣府が直接関与する複数の違法行為の疑いが濃厚になっているにもかかわらず、5個のニュース項目に入っていない。政権に不都合な特定ニュースを報じない中国のニュースと同じ。NHKはいつまで、こんな国民への背信行為を続けるのか。

2018‐11‐29 17:35:32
「スッキリ」加藤浩次らが「桜を見る会」で露骨な安倍政権擁護 テレ朝小松アナも…安倍首相と記者クラブの懇談会が影響か(リテラ)
「安倍首相は公の場での会見も開いていないというのに、そんなタイミングで記者クラブの各社キャップが揃って安倍首相を囲んで懇談」「『週

2019‐11‐29 17:37:49
(続き)刊新潮』によると、この懇談会は開催2日前に急に設定」「安倍首相と今井尚哉首相秘書官兼補佐官はキャップにこんなことを言ったのだという。安倍首相『この問題、ワイドショーはまだやるのかな? 昭恵のことももうやったし、後援会の話も出たからもういいんじゃないのかね』今井秘書官『NHKの

2019‐11‐29 17:39:30
(続き)報道はひどい。だから同時配信はだめだと言われる。1万1000円以上 じゃなきゃ出来ないとホテルが言ったのを最初に報じたのもNHK。総理番が毎日細かいことを質問する。細かいことまで総理がわかるわけがないのに、袈裟懸けみたいに質問する。あれ、キャップが聞かせているの?』

明白な恫喝。

2019‐11‐29 17:40:50
ニュース番組での花見会疑惑の追及と「ネット同時配信」は関係ない。関係ないものを、今井尚哉首相秘書官兼補佐官は持ち出してNHKを恫喝した。

この1週間ほど、NHKから花見会の項目が完全に姿を消した理由がこれか。触れても「野党は審議拒否」等の政局扱い。

2019‐11‐30 13:40:38
桜を見る会」報道をNHK抑制 安倍官邸の圧力に屈したのか(日刊ゲンダイ)…「いつも通り、NHKは腰砕けに終わるのか」「安倍官邸の圧力に屈し、NHKは『桜を見る会』に関する報道を控えている、という疑いが浮上している。ネット上には、<最初はノリノリだったNHKが

2019‐11‐30 13:42:55
(続き)『桜を見る会』報道を急に控えるようになった>などと書き込まれている」「『桜』疑惑が発覚した当初、NHKは国民サイトに立った報道をしていた」「ところが、いつの間にか『桜』疑惑について独自報道をしなくなってしまった」

受信料強制徴収でこの態度は明らかに背任。NHKは罪が深い。

2019‐12‐04 20:41:27
別の専門事業者に復元を依頼することはないという考えを示しました。(NHK)
NHKのニュース部門で働く人間は、自分の給料がどこから出ているか考えたらどうか。強制的に国民から巻き上げた金だろう。

奉仕すべき相手は、金を払わされた国民であって腐った権力者じゃない。

2019‐12‐06 17:24:17
事業規模は総額26兆円 新経済対策を決定 政府(NHK)
現職総理大臣の重層的な不正疑惑を全然まともに報じないNHKは、ニュースのたびにこれを大々的に宣伝している。財界その他向けの「安倍政権からの餅撒き」だが、不正を糺すことより目先の利益が大事という日本人が多いのか。

2019‐12‐07 19:22:07
外国特派員は、首相や官房長官の説明の論理的欠陥だけでなく、それを日本のメディアがどう報じているか、また報じていないかを俯瞰できる立場にあるので、それを書いてください。

特に、自国の現職首相の不正疑惑なのに公共放送NHKが一切報じない態度を貫く異常さを。

2019‐12‐07 19:25:11
今週火曜(12月3日)から金曜(12月6日)までのNHK主要ニュース番組の項目。

自国の現職総理大臣や官房長官の国会議員資格に関わる重大な疑惑が、日々国会の内外で追及され、官房長官の説明も実質的に破綻しているのに、まったく存在しないかのように無視するNHK。

旧ソ連のニュースかと思う。

2019‐12‐07 19:28:27
NHK以外の新聞テレビは、もうそろそろ「自国の現職総理大臣や官房長官の国会議員資格に関わる重大な疑惑を、受信料強制徴収で運営する公共放送のNHKがニュースで一切報じない態度をとる異常さを」批判する記事を書いたらどうか。

受信料支払い者への背任、知る権利の蹂躙など、NHKの罪は重い。

2019‐12‐10 13:27:22
人選に官邸の影 NHK新会長に前田氏(毎日)「来年1月からの後任の会長に就く、みずほフィナンシャルグループ(FG)元会長の前田晃伸氏は『首相官邸の人脈』(自民党関係者)」「首相官邸に近い複数の関係者によると、官邸では上田会長の『今期限りの交代』は既定路線で、

2019‐12‐10 13:28:37
(続き)官邸の意を体した石原氏らが、財界関係者やNHK幹部などを対象に人選を進めてきた。複数の関係者は『首相官邸は『上田会長は野党に気を使いすぎだし、政権批判の番組へのグリップが弱い』と不満を持っていたと明かす』。ある関係者は『安倍首相は『金融出身者がいい』と話していた』と」

2019‐12‐10 13:30:25
(続き)「複数の候補者の一人として、11月下旬から前田氏の名前も浮上」「前田 氏は、首相を囲む経済人が集う『四季の会』にも参加していた。自民党幹部は『官邸主導の人選』と話し、『官邸がコントロールしやすい人材を置いたのだろう』」

なぜ受信料強制徴収の公共放送を首相が私物化できるのか。

2019‐12‐10 13:33:10
NHKニュースは、公共放送という社会的責任を負いながら、確認できただけでも11月19日から今日まで22日間、現職総理大臣と官房長官の国会議員資格に関わる重大な不正疑惑をニュース項目として追及しない態度をとったが、世論調査で「首相説明に納得できるか」などと聞く。恥知らずにも程があるだろう。

2019‐12‐10 13:34:45
「出して当然」の明細書や招待者名簿を徹底的に隠し、現職総理大臣と官房長官の国会議員資格に関わる重大な不正疑惑で「潔白を証明する努力を全然やらない」安倍政権を全く問題視せず「花見会の再開に賛成か反対か」という論点ずらしの世論調査で政権をアシストするNHKニュース。強烈な腐敗臭がする。

2019‐12‐10 13:37:38
国会閉幕まで「逃げ切れる」という与党議員が早々と言い切ったのも異様だが、
「国会閉幕までNHKニュースが一切この問題を追及しない」という密約が成立
していたのなら腑に落ちる。

NHKニュースがここまで徹底的に政権サイドに不利な追及報道をやめた状況は、森友加計の時よりもさらに酷い。国民への背任。

2019‐12‐10 19:17:58
今日午後2時のNHKニュース。廃棄された行政文書の内容次第で現職総理大 臣と官房長官が国会議員の地位を失う可能性がある重大な不正疑惑を、20日以上まったく追及報道していないNHKだが、官房長官の「新たな調査は行わず」という声明は、殿様のお触れを下々の民に下知する下僕のようにニュースで流す。

2019‐12‐10 19:21:20
現職総理大臣と官房長官の不正疑惑の潔白が「行政文書の廃棄」で証明できない異常事態の責任は、完全に政府側にある。潔白の証明義務は、首相と官房長官にある。にもかかわらず彼らの「文書は適正廃棄」「データ復元も不可能」「と報告を受けている」等の責任逃れの遁辞を垂れ流して全国放送するNHK。

2019‐12‐10 19:24:46
そして極めつけは「反省しているか?」「反省している」という御用記者との猿芝居。「反省」という宣伝用の空疎なだまし言葉を、国民から強制的に巻き上げた金でニュースに乗せて、権力サイドの不正疑惑隠蔽の片棒を担ぐNHK。共産党を含む野党は、いい加減にNHK予算審議でノーを突きつけたらどうなのか。

 山崎雅弘:戦史/紛争史研究家。政治問題の分析記事も新聞・雑誌に寄稿。主な著書に『天皇機関説事件』(集英社新書)『日本会議~戦前回帰への情念』(集英社新書)『増補版・戦前回帰~「大日本病」の再発』(朝日文庫)『【新版】中東戦争全史』(朝日文庫)。『歴史戦と思想戦』(朝日文庫)『新版 独ソ戦史』(朝日文庫)など。

 山崎雅弘氏のツイートにもあるように、11月15日の時点では、安倍首相「桜を見る会」疑惑についてNHKは独自の調査取材で踏み込んだニュースを流していた。私も「おっ!」と思って、その後の追及に期待した。ところが山崎氏が確認した範囲で、11月19日から12月10日までの22日間、この疑惑についてニュース番組で一切触れていない。これは受信料徴収で成り立つ公共放送であるNHKの国民に対する重大な背任的放送だと指摘している。
 ツイートでは疑惑報道の真っ最中に安倍首相と内閣記者クラブキャップによる懇談会が開かれ、そこで今井尚哉首相秘書官兼補佐官に「NHK報道はひどい」とNHKキャップが恫喝される週刊新潮の記事や「安倍官邸の圧力に屈してNHKは『桜を見る会』報道を抑制」(日刊ゲンダイ))などの記事も紹介されている。

 山崎雅弘氏のツイートにはそのツイートを裏付けるNHKニュースのテレビ画面の写真や関連サイトなどへのリンクが張られており、根拠のない「フェイク」や「言いがかり」でないことは明らかである。一部の言葉遣いに乱暴な表現があるが、それは現職総理大臣の疑惑をきちんと伝えないNHKへの怒りの発露として、私には十分共感できる。 

安倍政権とメディア幹部の「癒着」に怒り、記者たちから避難囂々
――新聞労連・南彰委員長が報告(フリージャーナリスト 志葉 玲) 乙19号証

 関連情報として、疑惑報道の真っ最中に開かれた安倍首相と内閣記者会キャップの懇談会は「権力とメディア幹部の癒着」だとして、批判と怒りの声をあげたメディア関係者の声や新聞労連・南彰委員長の報告などを紹介したフリージャーナリスト・志葉玲氏のYAHOO!ニュース掲載記事(2019・11・28)も証拠書面として提出する。

 志葉玲氏の記事の一部を抜粋して紹介する――。

 「信じられない。桜を見る会が批判されている最中に、内閣記者クラブのキャップが今夜、安倍総理と会食したそうである。メディアの信頼性を考えていないよね」(ニューヨーク・タイムズ元東京支局長・マーティン・ファクラー氏)

「現場が取材で奮闘している最中に一体何をしているのか」(東京新聞・望月衣塑子記者)

「全国の記者からやり場のない怒りの連絡が一日中押し寄せる。悔し涙を流す人もいる。この懇談は市民とメディアの間をまたもや引き裂いた。市民に信頼される報道を目指して頑張っている記者の心を折れさせていくメディア上層部の意識って何なんだ」(新聞労連委員長・南彰氏)

 志葉氏はこうしたツイートを紹介するとともに「日本のメディア上層部は本当に危機感が足らない。メディアと政権が癒着しているからこそ、数々の疑惑や不祥事を抱えながらも、安倍政権が『憲政史上最長の政権』となったのではないか。各メディア上層部は、今回の懇談に対する現場の記者たちの怒りの声に耳を傾け、日本のメディアのあり方を問い直すべきだろう」と指摘している。

 この安倍首相と内閣記者会報道キャップの懇談会は11月20日(2019年)、都内の中華料理店で行われた。加盟報道各社のうち、毎日新聞社は出席せず襟を正した。NHKキャップは山崎雅弘氏のツイートにもあったように、この場で今井尚哉首相秘書官兼補佐官に「NHK報道はひどい」と恫喝され、「桜を見る会」疑惑報道を急に控えるようになったとも伝えられている。 

3.日本郵政と権力の圧力に屈した「かんぽ不正」報道と
放送法と矛盾したNHK経営幹部の「公共性」意識について

 2018年4月、かんぽ生命保険の不正販売問題を報じたNHK番組「クローズアップ現代+」対して日本郵政側が再三にわたって抗議し、同8月、NHKは続編用に情報提供を呼び掛けた動画を削除、予定していた続編の放送を見送った。同10月、日本郵政がNHK経営員会にガバナンス体制の強化を要求、経営委員会が上田会長を厳重注意し、木田放送総局長が日本郵政を訪問し、謝罪の文書を手渡す。日本郵政の鈴木康雄・上級副社長(元総務事務次官)が経営委に謝意を伝える文書を送付。
 翌2019年6月、日本郵政が「不正販売の疑いがあった」と発表。同7月、NHKは「クローズアップ現代+」の続編を放送、同9月、日本郵政長門正貢社長が「今となってはまったくその通り」と18年4月の番組の内容を認め、謝罪した。

 この「かんぽ不正」報道をめぐる問題は、日本郵政の鈴木康雄上級副社長が旧郵政省出身の元総務次官で電波行政を仕切った過去があることから、圧力に屈し権力に弱いNHK幹部の実態をさらすとともに、経営委員会が上田会長を厳重注意(しかも議事録に記載がない)したことは明らかに「干渉」を禁じた放送法違反であり、公共放送としての報道の使命が問われる問題となった。

 以下に、この問題に触れた3人の識者のコメント記事を紹介する。

「公共性」認識の欠如
立教大学名誉教授・服部孝章

 NHK、経営委、日本郵政三者が、それぞれ勝手に自分たちの立場と感想を述べ合っているような印象だ。それぞれの組織が何を改善して、どんな将来像を描いたらいいのか全く見えてこない。

 他の報道機関に先駆けて、かんぽ不正問題を報じた「クロ現+」は称賛されていい。しかし続編の放送が遅れたことで、かんぽ問題の被害は拡大してしまったと言える。「取材が(放送の段階まで)尽くせなかった」というNHKの説明も説得力がない。
 「NHKはきちんとした報道ができない」という印象を視聴者に与えた社会的損失は大きい。組織もメディアもきちんと責任を問い、そしてNHK会長と経営委員長は辞すべきだ。

 日本郵政の鈴木康雄・上級副社長が「(NHKは)まるで暴力団と一緒」と発言をしたが、自分たちが答えたくないことに迫ってきた報道機関の活動を暴力団と表現した。メディア不信の風潮の中、報道が持つ公共的使命への認識の底が抜けてしまった気がする。郵政も公共的な事業体なので、天に唾する発言だ。きちんと批判されるべきだろう。(東京新聞2019.10.6)乙23号証

放送法違反 明らか 
(元NHK経営委員長代行・早稲田大名誉教授 上村達夫)

 厳重注意は「今後、こうゆうことをするな」という意味で、明らかに放送法が禁ずる「干渉」「規律付け」にあたる。経営委が執行と監督の区別がついていないことが問題の根本にある。仮に職員のあり方が問題だとしてもそれは執行内部の問題であり、注意権限は委員長にはない。放送法では執行の全責任は会長にある。経営委は決議事項にノーと言うことはできるが「こうしろ」と指図はできない。会長も「注意処分を受ける根拠は何か」と聞くべきだった。

 議事録に注意の記載がないのは、してはいけないことをしてしまったから書けなかったのではないか。委員長は議事録の作成責任者として文言の調整などはできるが、あったことをなかったことにはできない。

 経営監督機関の経営委と執行機関の会長は別個独立の機関であり、上下関係ではない。今回の注意は会長に対する上司という感覚でなされたことのように見える。これが正しければ今後も、経営委はNHK職員の問題があるたびに同じようなことをしてよいことになるが、それは放送法違反の常態化を意味する。(東京新聞2019.10.6)乙23号証

「露呈する権力への弱さ」
上智大学文学部教授 水島宏明) 乙20号証

 「報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない」
 NHKは取材・制作の基本姿勢を示す「放送ガイドライン」にそう記している。だが、公共放送としての国家権力や特定の個人・団体などからの独立を保ち、公正な報道ができているのか、疑問を抱く事態が起こっている。
 その象徴的な事例が、今年9月に毎日新聞のスクープで明るみに出た、かんぽ生命保険の報道をめぐる対応だ。

 日本郵政でNHK側への働きかけの中心を担ったのが、鈴木康雄上級副社長。NHKの監督官庁である総務省の元事務次官で、放送行政に強い影響を与えた人物だ。
 鈴木氏がNHKを追及する際、強調したのが「ガバナンス」の欠如だった。NHK放送総局長が会長名の謝罪文を持参した翌日、鈴木氏が経営委員会宛てに出した書状では、「かつて放送行政に携わり、協会のガバナンス強化を目的とする放送法改正案の作成責任者であった立場から」と振り返り、「放送番組の企画・編集の各段階で重層的な確認が必要である旨指摘しました」と記している。

 NHKの番組責任者が日本郵政側に対し、実際にどのように説明したかわからない。だが、もし日本郵政側が指摘するように「番組制作と経営は分離しているため、会長は関与しない」と説明したのなら、放送法を正確に理解していないと言える。
 NHKは本来、ガバナンスと動画の掲載とはまったく別問題であると突っぱねてよいはずだ。しかも報道に誤りがあったわけではない。
 それなのにガバナンスを持ち出された途端、NHKは内部調査を十分に経ることなく、続編の放送を断念し、動画の公開も終了した。これは異例だ。鈴木氏が元総務事務次官として現在も放送行政に一定の発言力を持つほか、政権幹部にも近い存在でなければありえない対応としか言いようがない。

 経営委員会による会長への厳重注意については、経営委員会は番組の編集に関与できないと定める放送法に違反するという指摘が専門家からなされている。
 石原進経営委員長は衆議院予算委員会で「編集の自由を損ねた事実はない」と説明し、高市早苗総務相も「放送法に違反しない」と追認した。だが、「今後こういうことはするな」というのが「厳重注意の意味だ」と解説する元経営委員もいる。
 職員の説明上の不手際に付け込み、ガバナンスの問題を強調した抗議によって、日本郵政側は動画削除という目的を果たした。こうした無理筋でも政権に近い人物が関わっていれば可能になる環境がNHKの体制にある。

 NHKの独立性、公共性に疑問を抱く事例はほかにもある。政治に関する報道だ。
 第2次安倍政権の登場前後から、ニュースでの安倍首相・自民党総裁の露出が際立つなど「不自然さ」が目につく。アベノミクス、消費増税特定秘密保護法テロ等準備罪、安全保障関連法といった重要政策・法案の審議や国政選挙の前に、知見を持つ専門家の声を伝えたのはごくわずか。政府や与党の主張を記者が説明するだけの解説報道ばかり目立つ。

 17年に最高裁判所が受信料支払いの義務規定を合憲とする判断を示して以降、謙虚な姿勢は影を潜めた。NHKが気にするのは、予算や法律などを握る国会や監督官庁である総務省と国家権力の中枢、首相官邸。そんな構図がそのころから一気に進んだ感がある。国民の声に耳を傾ける「みなさまのNHK」から「安倍さまのNHK」へと変貌したと揶揄されるゆえんだ。強制力を持つ法律的な後ろ盾を得たことで、視聴者との間に存在した番組をめぐる双方向のやり取りが薄れたと感じるのは筆者だけではない。

 放送法を改正してもらい、インターネットでの常時配信の道を開いたNHKは、政府と与党に大きな「借り」を作った。前述したかんぽの報道についても、元事務次官が経営委員会に接触し、経営委員会が従順に会長を厳重注意したことを、NHKは決定の議事録に残していない。これはNHKの歴史に汚点を残した。長く続く「安倍1強」政治の下、官僚たちが森友学園への国有地売却に関する公文書の改ざんに手を染めていたのと二重写しに見える。法律や規則の順守を徹底させないと、公共放送の運用が恣意的になってしまう恐れがある。

 今年7月、75歳でNHKの生放送に初めて出演した久米宏氏が「NHKは独立すべきだ。人事と予算で政府と国会に首根っこを押さえられている放送局は先進国にあってはならない」と持論を展開した。
 テレビ朝日社員で番組コメンテーターを務める玉川徹氏に「放送の公共性」を尋ねると「公共性とは突き詰めると良心」と明言した。NHKのある有名な政治記者が「公共性とは国益」だと発言したとされるのとは対照的だ。
 放送、そしてNHKの公共性は、国民の知る権利に奉仕するものだ。

 (週刊東洋経済2019年11月23日号 特集「検証!NHKの正体 膨張する公共放送を総点検」掲載 上智大学教授・水島宏明「揺れる公共放送 露呈する権力への弱さ」より 一部を抜粋して紹介)

かんぽ不正、苦情40万件、不正疑い1万2836件、7割超が60代以上
ここには「国民の知る権利」が救えなかった被害も 乙21号証

 2019年12月18日付毎日新聞によると、かんぽ生命保険の不正販売問題で、かんぽ生命と日本郵便が進めている全契約者への「全件調査」で、対応が必要な苦情は40万件(12月中旬現在)であることがわかった。また同18日付毎日新聞によると、特別調査委員会の報告書で2018年度までの5年間で法令や社内規定に違反した疑いのある契約は1万2836件、そのうち670件で違反を認定。また、同契約の7割以上が60代以上の顧客と結んだもので、高齢者が不正の主な被害者であることも分かった。

 もしNHK「クローズアップ現代+」の続編が予定通り放送されていたとすれば、救えた被害もあったかもしれない。被害がすくなくなった可能性もある。前述の立教大学名誉教授・服部孝章氏のコメントにも「続編の放送が遅れたことでかんぽ問題の被害が拡大してしまった」と指摘している。
「国民の知る権利」に応える報道が一般的抽象的な義務ではなく、実害につながる現実性を持った義務であることを、この「かんぽ不正」報道問題は示唆している。

政権との距離を保ち、視聴者本位の再確認を
NHK新会長に望む朝日と毎日の提言

 「かんぽ不正」報道問題にかかわった石原進経営委員長は昨年12月10日に、上田良一NHK会長は本年1月24日にそれぞれ任期終了により退任。(別に責任をとって辞めるわけではない。)

 経営委員は国会の同意人事だが、いまは官邸の意向で決まり「お友達人事」と言われている。その経営委員によって選出されるNHK執行部のトップである新会長にはみずほフィナンシャルグループ元会長の前田晃伸氏が就任する。毎日新聞2019年12月11日付社説によれば、前田氏は安倍首相を囲む経済人が集う「四季の会」のメンバーで、官邸との近さも指摘されている。
 「官邸には、上田会長が政権批判の番組に十分には対応できていないとの不満もあった。今回の新会長人事に、番組内容への影響力を強めようとの意図があったとすれば問題だ」と指摘。「5代続けて外部の財界からの会長登用となるが、権力を監視する報道機関のトップとして、政権と距離を置き、公共放送の理念を貫く姿勢を示すべきだ」と提言している。

 また朝日新聞2019年12月11日付社説では、「公共メディアとしての適正な役割と規模は何か。報道機関として権力との健全な緊張関係は保たれているか。そうした問いの念頭に貫くべきは、視聴者本位の目線である」「前田次期会長には、報道機関を率いる覚悟を持ってほしい。政治や企業、各種団体などからの圧力に屈することなく、視聴者の公益に資する情報を伝えるのがNHKの使命である」「国民の知る権利と民主主義の発展に生かす重責を、組織全体で再確認してもらいたい」と提言している。

 はたして、NHK新執行部は放送法1条を肝に銘じ、前述の川端和治弁護士があげた「NHKが公共放送であるための条件」を実証して、受信契約者との信頼関係を取り戻すことができるか。前田新会長には、「安倍様のNHK」ではなく、「国民とともにあるNHK」の先頭に立っていただくことを切望する。空疎な言葉だけの会長としてではなく。


あとがき

 2019年7月の参議院選挙で二人の国会議員を誕生させたれいわ新選組。“山本太郎現象”とまで言われた、れいわ新選組代表・山本太郎氏が参院選挙後の8月1日に新宿西口で、市民との対話形式で論議を展開する「街頭記者会見」を行った。1000人を超える聴衆の熱気であふれる中でNHKについて語った部分がある。

みなさんがスポンサーなんです……山本太郎NHKについて語る~

 「NHKに関しては、まあ『ぶっ壊す』みたいなこと言ってる場合じゃないなと思うんです。もちろん、それを見ていないのにお金を取られるということ自体に、矛盾もありそうな感じはしますけれも、だったらお金を払わなきゃいけないくらいのコンテンツを作ってみろって話なんですよね。

 とは言いながらも、NHKは良い番組を作っているんですよ。『NHKスペシャル』であったり、ドキュメンタリーであったり、他にも『バリバラ』とか、良い番組ありますよ。あるんだけれども、肝心のニュース報道が最低です。まるでゴミです。

 一日中、予算委員会で、ぐだぐだの答弁をつづけた総理が、ちゃんとまともに喋っているように映るんですよ。いやーすごいわ、あの編集マン、うちで雇いたいわ、ほんま。なかなかうちみたいな不安定なところには来てくれないでしょうけどね。そんな感じです。なので、もっと価値のあるニュース報道ってものをしっかり提供する、事実を伝えていただきたい。そういう風に思います。

 NHKはみんなからお金取ってるわけですから、当然、スポンサーはみなさんなんですよ。一般の民放はスポンサーがあるから、スポンサーに不利益になるようなことは極力流さないようする。当たり前です。けれどもNHKにとってスポンサーはみなさまなわけですから、その報道の内容っていうのは、まったく忖度なくストレートに流せばいいわけです。ありのままを。でもそれができていないっていう部分に一番の問題がある。

 これはNHKの経営にかかわる問題なので、私が政治家としての立場で何かを改革することはちょっと難しいかもしれませんが、国会の委員会を一日中やってるようなチャンネルで政治を監視してもらうとか、政府や財務省に批判的なジャーナリストなど、いろんな人たちが討論できるような、今はネットでしか流れてないようなものさえも、NHKの枠組みで流せるような、そういう健全な放送局になればいいですよね。」

週刊金曜日2019・11・28臨時増刊号「まるごと山本太郎・れいわ新選組」より) 乙22号証
 
 山本太郎氏の言葉は平易でやさしい。しかもひとりひとりの市民や弱者の立場に立つて語りかけてくる。しかし、そこでNHKについて語られる中身は、現在のNHKの問題と、国民一人一人の受信料で成り立つNHKのあるべき姿の本質を鋭く突いている。

 私は今回の放送受信料に関する訴訟で、一貫して弁護士さんに頼らず本人訴訟でやってきた。その理由のひとつは一人の受信契約者として、一般の視聴者感覚、ごく普通の市民感覚でこの問題を訴えてみたかったことだ。もうひとつはこの訴訟に費用をかけたくなかった。

 それは受信契約者の抗議に懇切丁寧な説明で対応せず、「法手続き」をちらつかせて受信料を請求してくるNHKへの抗議の意味もある。裁判になれば弁護士費用が掛かる、すでに最高裁で判決が出ているのだから勝ち目はない、さっさと和解して不払い分を払ったほうが結果として安くすみますよ、そういう心理で、法手続きや「支払い督促」で威嚇してくるNHKの営業行為は、受信契約者との信頼関係で成り立つ公共放送のあるべき姿ではない。

 私は一般の市民でも、弁護士さんに頼らず訴訟に対応できること、費用もかけないでできることを実証することがNHKへの最大の抗議だと思っている。それもNHK受信料制度を合憲とした最高裁判決を論拠として。

最後に言いたいことはただひとつ。
NHKは放送法を守れ。放送法を守れば受信料を払う。

 裁判官の皆さんには、この国の「希望」を司法の立場から示してほしい。「国民の知る権利」と「健全な民主主義の発達」と、そして私の孫とNHKとこの国の未来の正常化のために。

 


証拠書面リスト

乙15号-1「公共放送であることの条件」(弁護士・川端和治「放送の自由――その公共性を問う」岩波新書
乙15号-2「表現の自由と知る権利」(弁護士・川端和治「放送の自由――その公共性を問う」岩波新書

乙16号「民主主義を育てる基盤の喪失 放送法1条3項について(立教大学名誉教授・服部孝章「NHKはぶっ壊すしかないのか――いま公共放送の意義を問う」月刊「世界」2019年12月号 岩波書店

乙17号 2019年参院選をNHKはどう伝えたか、伝えなかったか
(視聴者団体「放送を語る会」モニター報告書)

乙18号 安倍政権「桜を見る会」疑惑をNHKはどう伝えたか、
伝えなかったか(戦史・紛争史研究家 山崎雅弘のツイートログ)

乙19号 安倍政権とメディア幹部の「癒着」に怒り、記者たちから批難囂々――新聞労連・南彰委員長が報告(フリージャーナリスト・志葉 玲 YAHOOニュース)

乙20号「露呈する権力への弱さ かんぽ不正報道をめぐって」(上智大学教授 水島宏明 週刊東洋経済2019年11月23日号
特集「検証!NHKの正体」より)

乙21号-1「かんぽ不正、苦情40万件 保険料返還や契約復元など求め 全調査」(毎日新聞 2019年12月18日)

乙21号-2「かんぽ不正疑い1万2836件 契約の7割超が60代以上」(毎日新聞 2019年12月18日)

乙22号「山本太郎 NHKについて語る」(2019年8月1日 新宿西口「街頭記者会見」より)

乙23号「報道の使命、揺らぐ危機 識者に聞く」(東京新聞2019年10月6日)

乙24号「社説 NHK会長交代 政権との距離保つべきだ」
毎日新聞2019年12月11日)

乙25号「社説 NHK新会長 視聴者本位の再確認を」
朝日新聞2019年12月11日)